過去のつらい出来事を乗り越えるには。
過去につらい思い出がある人はずっと忘れられずつらい思いを続けている場合があります。
脳の専門家によると、人間の脳は”都合の悪いことは忘れる”ように基本的にできているが、強い感情と結びついている記憶はなかなか消えにくいのだそうです。
いい意味で粘着質な人はずーっと同じ研究を長い間されていて結果的にノーベル賞をとったりするので、そういう「忘れにくい性質」をうまく生かして成果を上げる人がいるのも事実です。
ただ、やっぱり自分の気持ちがつらいのはどうにかしたいですよね。
その場合は何度も思い出してそのことを言葉にするという方法があります。
俗称「シロクマ実験」というアメリカで行われた実験があるのですが、被験者を3グループに分けてシロクマの1日を記録したビデオを見てもらいます。
3グループにはそれぞれこのように伝えます。
・シロクマの事を覚えておいてください
・シロクマのことを考えても考えなくてもいい。
・シロクマのことを考えるな。
そして1年後にもう一度来てもらいビデオの内容をどのくらい覚えているかをテストしました。
一番成績のよかった、つまりシロクマの事を覚えていたグループは覚えておけと伝えたグループではなく、シロクマのことを考えるなと伝えたグループだったそうです。
これは、考えないようにしようと思えば思うほど注意がむいてしまうからです。
記憶というのはいわば「格納庫」があって、思い出すたびにそこからひっぱりだし、そしてしまうの繰り返しで、最初思い出したときはあんなにつらくて悲しくてどうしてあんなことになったんだろうと思いますが、段々と”思い出し、しまう。”をくり返していくうちに「実は冷静に考えるとあーだった、こーだった」や、「あの経験は自分にとって必要な経験だった」と思うようになることもできます。
記憶そのものは変わらないんだけど、記憶の意味合いが変わっていくわけです。
この”意味を変える”という作業を行うほうが忘れやすく、克服できるということになります。
強烈な感情がどんどんおさまっていく。それと結びついた記憶も薄れて穏やかに「格納庫」にしまっておきやすくなります。
つらい思い出ほど何度も思い出して、その中に価値を見出しましょう。